2022年8月6日に公開された
映画「ONEPIECE FILM RED」。
今回は「ONE PIECE FILM RED」が
爆発的なヒットを記録した理由について
徹底深堀していきます。
「ONEPIECE FILM RED」の興行収入
興行収入: 203億円
年間順位: 1位
歴代順位: 6位 (邦画・洋画含む)
4位 (邦画作品のみ)
興行収入に関して詳しいデータが知りたい人は、
こちらの記事を参照ください。
→「ONEPIECE FILM RED」の興行収入の推移を毎日更新!!
爆発的ヒットの背景
本題に入ります。
爆発的なヒットを記録した理由ですが、
大まかに3つあると思います。
1.映像×音楽のコラボ
2.新規層の取り込み
3.ONEPIECEブーム
という視点で、紹介します。
1.映像×音楽のコラボ

近年のヒット作は
”音楽”の印象が強い作品が多いです。
・「君の名は。」(興行収入250億円)
→RADWINPS
・「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」(興行収入403億円)
→LiSA
それぞれ歌い手のアーティストさんの印象が
しっかり残っています。
これはなぜかというと、
主題歌以外にも劇中の挿入歌まで
全て同じアーティストが担当しているからです。
また、広告×音楽のコラボで劇的な効果を発揮します。
ここで大切なことは、
良い音楽であるかどうかではなく、
音楽の印象を残せるかどうかです。
この2作品は少なくとも、
その点においては成功しています。
今回のワンピースの場合、映画のコンセプトが、
「世界の歌姫ウタによるライブ映画」なのもあって、
かなりミュージカル風な内容になっていて、
adoさんが7つも曲を歌います。
音楽要素が非常に強い作品といえるでしょう。

そして、2つ目に映像が綺麗なことです。
新海誠監督の作品もアニプレックスが手掛けた
映画「鬼滅の刃 無限列車編」も、両方とも
かなり映像にこだわっています。
2.新規層の取り込み

これが一番デカいです。
様々な面で、普段ワンピースをみない層を
取り込もうとする工夫がみられました。
たとえば映画公開の1か月前から、
Amazon Primeなどで過去のアニメ・映画作品を
全て無料配信しました。
これは劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」の成功体験を
踏まえて行われたことだと思います。
他にもいろんな外策がありますが、
ここでは作品の中身からみた、
新規層を取り込める要素について紹介します。
①adoさんを起用。

adoさんといえば、「うっせーわ」という曲が
子供たちの間で流行りましたよね。
知名度が抜群に高く、子供たちが馴染みやすい
adoさんを採用することで、ファミリー層の集客に
成功しました。
子供たちからの知名度というのは、とても大事です。
好きか嫌いかはともかく、
子供たちは知っているだけでも
好奇心をそそられます。

②敵キャラ路線の変更
これまでのワンピース映画のボスキャラといえば、



・元海軍本部大将
・元ロジャー海賊団のクルー
・海賊王ロジャーのライバル
など最強の肩書を持つ、
”クソ強いジジイ” が定番でした。

そこに果敢に飛び込んでいく、ルフィとの対決を
ファンは楽しんでいました。
しかし、クソ強いジジイにも飽きがきます。
そこで、劇場版ONEPIECEの第15作にして、
キービジュアルが
「可愛いらしい女の子」へ路線変更。

彼女の名前は”世界の歌姫” ウタ。
劇中では音楽で世界を救おうとします。
「映画だから違うことをやらなきゃ。」
ずっとそう思っていました。
今回、それを試したのが最大の功績です。
③分かりやすいストーリーで”感動”しやすい

ワンピースを知らない人でも楽しめるような
ストーリー設定になっています。
具体的には、
・内容が単純で理解しやすい。
・戦闘じゃなくて、感動メイン。
→ゴリゴリの戦闘で興奮するのではなくて、
感情の起伏に共感することで、”感動”を誘う。
です。
広告に使われてる主題歌のタイトルは、「新時代」。
そして、謎の少女がライブ会場で歌って踊ってる。

もうそれだけで、

「ワンピースのこと何も知らなくても楽しめそう。」
と思わすことが出来ます。
「歌で世界を幸せにする。」
→シャンクスに捨てられた辛い過去。
→ルフィは「お前のためだ。」と彼女に言う。
→ルフィが必死にウタを救おうとする。




辛い過去を持つ少女を、
「そうじゃないよ。」と
ルフィが救う話なのかな?

ワンピース普段みてないけど、
何とか理解できそうだな。
初心者向けのストーリーとなっています。
そこに”シャンクスの娘”という設定を入れておけば、
原作勢も興味をそそられるし、完璧です。
誰にとっても興味が沸くような、バランスのよさ。
そして、しっかりと感情は動いている。
今回の映画は、これを物凄く意識して、
設計されているように思いました。
だから今回の映画の予告をみたときは、

こりゃ間違いなく売れるだろうな。。
と思ったのを、今でも覚えています。
④映画の主役

今までの映画は敵キャラの生い立ちや過去に焦点が
あたっても、なんだかんだいって最後はルフィが倒して終了。敵役のストーリーは語られはするものの、あくまでサブでした。
作品を通して主役は、やっぱりルフィでした。
でも、私は思ったのです。

ルフィを主役にする必要はなくね??
言っちゃえば、
ルフィに興味があるのは尾田さんだけ。
「鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎は
良いキャラクターですが、
人気ランキングを見ると我妻善逸や柱、上弦の鬼など主人公以外にハマるファンも多かったです。事実 劇場版 映画では炎柱の煉獄杏寿郎が準主役として活躍し、彼が映画ヒットの立役者となりました。

ONEPIECEも、その点は鬼滅の刃に近くて、
主人公のルフィ以外にも魅力的なキャラが沢山。
煉獄さんのように映画の主役を務めれる人気キャラは多数あるでしょう。
さらに今回の映画みたいに、
映画オリジナルのキャラクターを
主役にしてしまうという手もあります。
正直、麦わらの一味の物語はお腹いっぱい。
さすがに100巻以上活躍してる主人公に、
いまさら新しいストーリーは必要ないでしょう。
⑤感動を織り交ぜたストーリー

3.ONEPIECEブーム
そしてこれが3つ目の理由です。
・物語は最終章へ突入。
・単行本は100巻を突破。
最終局面を迎えるにあたって、
史上最高の盛り上がりをみせるONEPIECE。
単純ですが、これも大きな理由です。
FILM Zが売れた理由。

シリーズ歴代最高興収を誇る「ONEPIECE FILM Z」
そこには、売れるだけの明確な理由が
きちんとありました。
・映画の主役設定
・感動を織り交ぜたストーリー
この2つがしっかり練られていました。

この作品では、物語の主人公はルフィではなく、
映画オリジナルキャラクター「ゼット」でした。
一応敵なのでルフィは彼と戦いますが、彼の過去まで掘り下げられ、過去の回想シーンで、ゼットが海賊を恨むようになった背景や、海軍を見捨てた経緯が描かれていました。その結果、辿り着いた思想が
「海賊も海軍も信用出来ない。」と。
その後、ルフィとの戦いでお互い満身創痍に。
そして最後は、男らしく海軍の前に散っていきます。
元教え子の海兵も現場に多く参加しており、
元教官ゼファー先生の最後を見届けるのは、
さぞかし辛かったことでしょう。
目に涙を浮かべている海軍中将の姿。
ゼットという名の、1人の男の生き様が
きちんと描かれていました。

主役はルフィではありませんでした。
それを象徴するかのように、
ルフィはゼットの最後を、
何も言わずに見届けています。
”感動”です。
やっぱり、売れる要素を持った作品が、
順当に売れているのが分かりますよね。
売れるには、それなりの理由があります。
このように、”感動”を織り交ぜたストーリーが
万人に好まれるのです。
また、「FILM Z」はアヴリルラヴィーンさんが
主題歌を担当してて、広告でバッドリプテーションが
流れていたのを今でも覚えています。
やはり他作品に比べると、
音楽の印象が強いです。
その点も、やはり関係性があるのかなと考えます。
爆発的ヒット要因まとめ

これまで「ONEPIECE FILM RED」が
爆発的なヒットを遂げた理由について
紹介してきました。
いかがだったでしょうか?
1.映像×音楽のコラボ
2.新規層の取り込み
3.ONEPIECEブーム
この3点が売れた理由でしたね。
そして、その中でも
2.新規層の取り込み に関しては、
様々な工夫が施されていました。
可愛い女の子を映画の主役に採用してみたり、
そのキャラの歌声を担当するアーティストさんを、
子供たち馴染みのあadoさんにしたり。
ワンピースを知らない人でも楽しめる内容にしたり、
ゴリゴリの戦闘メインじゃなくて、
あくまでストーリー性重視だったり。
そのなかできちんと”感動”できるポイントを入れたり。
最後に。

広告PVが流れてきた時点で、
「今までの映画とは全然違うな、」
といった印象は受けました。
広告の出し方が非常に上手かったです。
今回は、完全に普段ワンピースをみない層を
巻き込んだ興行を展開していると思いますし、
僕自身もワンピース好きな人が増えれば
嬉しいです。

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